雨過天晴

日々独呟|2000年11月〜12月

2014.02.11

category: 憂鬱的遊戯

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昔々に管理していた詩サイト「憂鬱的遊戯」からの発掘物です。
一行詩などの短い詩です。


00.12.31.
日付が一日変わるだけなのに
区切りをつけてやらないと
お疲れさま、もありがとう、も言えない

00.12.30.
夜を破るサイレンの音に目を瞑る
暗闇の不安に目を開ける

00.12.29.
電車の窓から流れる景色を見ている
季節が進む毎に枯れていく絵を

00.12.28.
ほうっと吐いて白くなる息は
気怠い吐息の自己主張

00.12.27.
降り続くものは雨だったり雪だったり
時間だったり暖かさだったり安らぎだったり

00.12.26.
クリスマスが終わればすぐ新年なんて
時の早さを実感する一瞬
気持ちの変わりやすさを再確認する一瞬

00.12.25.
深呼吸して、心落ち着けて空を見上げれば
静かに音もなく白い雪が降り注いでくる
溶けて、乾いた身体にゆっくり染み込んでくる

00.12.24.
サンタクロースの橇は
忙しい、が口癖になった私を避けて泳いでいく

00.12.23.
雨と雷鳴が訪れて
安穏としていた私を凍えさせる

00.12.22.
あなたの記憶に涙を落として
全部全部こすり取る

00.12.21.
もうすぐ、もうすぐ会えるよと
受話器を耳に押しつける

00.12.20.
眩しすぎるイルミネーションが
閉じこめた記憶に触手を伸ばす

00.12.19.
前の見えない暗闇を手探りで歩いていると
後ろから雨が追ってくる

00.12.18.
終わらせることが出来ないなら
壊して差し上げましょうと
カーテンの隙間から他人が囁いてくる

00.12.17.
雨が、目隠し。
あなたと私の、
決して見つかることのないかくれんぼ。

00.12.16.
時間より大切なものが出来たので
とりあえず時計はポケットの中へ

00.12.15.
幸せな夢は目覚めたときの落胆を連れてくるから
大嫌い

00.12.14.
どうして愛や永遠なんていう
不確かなものばかり信じたがってしまうのだろう

00.12.13.
本当に実在しないものを
必死になって探す人々が意外と沢山、いるらしい

00.12.12.
ルーレットが揃ったのだけれど
幸運はコインのようには出てこない

00.12.11.
あなたは厳しいひとだから、
私は弱いひとだから、
相性は最悪か二重丸かのどちらかだけ

00.12.10.
あなたがいなくなって一番驚いたのは
あまりにも日常が変化しないこと

00.12.09.
想い想われるってのは
この世の中で何より難しいことかもしれない

00.12.08.
我関せずという態度を
夜空を飄々と飛ぶ飛行機に学んでみる

00.12.07.
失う振りは簡単なのです
何も持っていないことを気取られなければいいのです

00.12.06.
あなたに会いたかった
こんな日は、あなたに会いたかった

00.12.05.
あんまり寒いから、
マフラー巻いて首を縮めてやりすごす

00.12.04.
その名を耳にするだけで
胸を締め付けられる人がいる

00.12.03.
昨日の私と今日の私
この二人はいつだって気が合わない

00.12.02.
日常は変わらない
日常を愛する気持ちが唯一の普遍の愛?

00.12.01.
1枚余分にカレンダーを捲ったら
1年ぶりに壁とコンニチハしてしまった

00.11.30.
寂しいと口にしたら最後、
本物の寂しさが一気に押し寄せてくるのです

00.11.29.
あなたの言葉は全て嘘
優しげな笑顔がその証明

00.11.28.
転がり落ちるときの悲鳴は
これから転げ落ちる人には聞こえないようだ

00.11.27.
幻惑されたい私を知られている
あなたは笑いながら手を差し伸べる

00.11.26.
抗えない欲望の存在を知っているから
逡巡を憂鬱にすり替えて、溜息にして逃がしてみる

00.11.25.
この年の残り少なさを実感する
出会ってからの時間を噛みしめる

00.11.24.
夜毎見せられる物語に涙する
眠りの合間の欲望の暴露

00.11.23.
ようやく塞がりかけた傷を夢が無慈悲にえぐり出す

00.11.22.
失った恋を悲しめる優越を
あなたにだけは渡したくない

00.11.20.
結論も後悔も淋しさも全部自分の物にして

00.11.19.
寂しいと言う、苦しいと訴える
その瞳には優越感が覗いてる

00.11.18.
あなたが苦しんで血を流しても
その色すら私にはどうでもいいことなのだ

00.11.17.
自由な空間なんてまったく望まない
私を縛るあなただけが、私の足場だから
まだ放り出さないで

00.11.16.
ひとり、人波の外で立ち止まる
あまりに手軽な水族館散策

00.11.15.
君のいない海はやたらと風が強くて
立ちつくす体を砂が叩き付けた

00.11.14.
溜息が確かに何かを吹き飛ばした
それは憂鬱かもしれないし痛みかもしれないし
傷を隠していた瘡蓋かもしれなかった

00.11.13.
自己消化するのが強さだと言われれば
頷くことしかできないのです
そのために押さえ込む切なさの数など
あなたは知るよしもないのです

00.11.12.
雲は高く高く上っていきました
低く淀んだ哀しみだけ残して

00.11.11.
あなたの横顔の口元から覗いた
前歯の並びをぼんやりと見つめる

00.11.10.
雨に打たれてもはっきり分かるくらい
涙はあたたかいものでした

00.11.09.
拒否しきれないのは好きと一緒、とあなたは言った
拒否しないのは諦めと同じ意味だと私は思う

00.11.08.
その視線に突き殺される
幸せに抱かれて息絶える

00.11.07.
幸せを実感するために
ただその手を握りしめればよかった

00.11.06.
枯れ葉を浚って風が吹く
私の体も吹き千切られる

00.11.05.
砂に埋まったテープレコーダーが
この世界の生きている唯一の証

00.11.04.
始まりのホイッスルの音は
結末を知っているから切なく響くのかもしれません

00.11.03.
天からの慈雨などいらない
跪き許しを請うのはあなたにだけ

00.11.02.
雨は降りつけるのです
脆弱な地面に穴を穿つために降り続くのです

00.11.01.
じくじくと痛む傷口の手当をしようとしても
あなたは救急箱さえも隠してしまった