雨過天晴

日々独呟|2000年9月〜10月

2014.02.11

category: 憂鬱的遊戯

tags:

img from: PAKUTASO

昔々に管理していた詩サイト「憂鬱的遊戯」からの発掘物です。
一行詩などの短い詩です。


00.10.31.
靴紐がほどけて長く垂れていたから
踏んだ拍子に転んでしまったのです
ただそれだけのことなのです

00.10.30.
理解が足りなかったとあなたは言った
理解があり得ないことをあなたは知っている
それはあなたに関する唯一の理解

00.10.29.
全てを洗い流す雨はあまりに強すぎて
とても今夜は眠れそうにない

00.10.28.
あなたの言う「いつか」を信じて目を閉じることなど
できるはずもなかったのです

00.10.27.
会いたい思いが胸を叩く
会えない苦しさが押しつぶす

00.10.26.
おいていかれる淋しさと、
ひきかえに手に入れた安らぎは
うまく比例してくれないようです

00.10.25.
何も変わらないさと嘯くのなら
縁に立つ誰かの背中を押してみるといい

00.10.24.
踏みとどまる足の痛さに唇を噛む
転げ落ちる快楽に目を閉じる

00.10.23.
誘惑が歩いてくる、静かに近付いてくる
私は目を合わせずにすれ違う

00.10.22.
夕焼けが背中を押す
その圧倒的な赤さと影の黒さで

00.10.21.
あなたが愛を運びすぎるので
消化不良を起こしかけています

00.10.20.
末期症状だと知っているのです
ただ私はあなたを許せそうにないので
縋るふりで苦しみを長引かせているのです

00.10.19.
その背中を見つめている
あなたの表情は本当の気持ちを隠そうと
いつも強張ってしまっているから

00.10.18.
雨が降る、雨が降り続ける
何もかもを染み込ませる空からの水

00.10.17.
久しぶりのデートの天気図は
あいにくの雨模様

00.10.16.
待っていた介錯は与えられませんでした
血塗れの体を差し出し懇願したとしても
笑いながら去っていくあなたを
苦しい息の下で憎み続けなければならないのです

00.10.15.
あなたの姿を一直線に切り裂いてみる
その傷から滲むのが涙でも血であっても
もう私には関係のないこと

00.10.14.
想像の空にあなたを描く
雨を降らせば消えてしまう

00.10.13.
愛する人に同じだけの愛を貰うことはない
愛情は連鎖するものであるが故に

00.10.12.
私の好きな声の高さを、私の好きな呼び方を
あなたが違えることはない

00.10.11.
空と雲はその黒さで
嵐の予兆を懸命に伝えようとしている

00.10.10.
アスファルトが雨を弾くから勘違いしたのです
降り注ぐものを吸いこむ術はないと

00.10.09.
会わなかった時間を取り戻すように
過去のパズルを埋めていく
時間は予想より早いので
今日のピースは空白のまま

00.10.08.
久しぶりに見る晴れた空は澄んで高くなっていて、
離れていた時間の長さを突きつける

00.10.07.
さよならを聞いた途端に木枯らしが吹いたから
頷いたほうが楽だと思ったのです
認めてしまえば忘れられると思ったのです

00.10.06.
弱さと言えばそれまでなのです
甘えと言えばそれだけのことなのです
諦めきれないこの心は、しゃくりあげながらも涙を流す

00.10.05.
あなたの腕時計の秒針が
わたしの耳元で軽やかな音を立てる
別れの時刻を知らせるように

00.10.04.
何度訊いてもまだ朝と答えるから、
ずっとあなたと微睡みの中

00.10.03.
一言だけ忘れられたプログラムは
誤動作に気付かれないまま動き続ける

00.10.02.
さよならを言うのは簡単なことでした
横顔だけを見つめ続けることにくらべれば

00.10.01.
残りのカレンダーの薄さと
同じくらいのあなたの面影

00.09.30.
夏か秋か、どっちつかずのこの空は
折角の決心まで曖昧にしようとする

00.09.29.
捕まえようと握った手の中からするりと抜け出す
悲しみと長すぎる夜だけ掌に残して

00.09.28.
あなたが目の前にいる事実よりも
大事なことなど見つけられはしないのだ

00.09.27.
絡め取られた兎は真っ赤な目で月を睨む
夢の中まで出てこないで
焦がれて泣いて、眠れない

00.09.26.
二人の距離は縮められないくらい近いので
これ以上近寄れない、 離れたくもない
そして二人は身動きすらできなくなる

00.09.25.
夢にまで会いたくなることに
目覚めた瞬間、目眩がした

00.09.24.
長い旅行は別れに似てる
また会う約束があるだけの違い

00.09.23.
太陽に夜を被せて短く呪文を唱えたら
1,2,3で別れの朝

00.09.22.
干したての布団の中と
あなたの腕の中でだけ感じる太陽の匂い

00.09.21.
ぼんやり海へ出かけたら
波音がよしよしと頭を撫でる

00.09.20.
恋する距離は近いほうがいいけど
忘れる距離は遠いほうがいい

00.09.19.
まだまだ暑いと呟いた
きっと何にも変わっちゃいない

00.09.18.
あなたが記憶から消えてくれないから
恋という文字を忘れることが出来ない

00.09.17.
止めようもなく視線に溢れ出してしまう愛しさを
あなたが見間違えるはずもないのです

00.09.16.
夢がオブラートにくるんでくれた欲望は
心理学者に剥がされて、苦くなって喉を過ぎる

00.09.15.
忙しいという言葉を言い訳にして
あなたへと未来へと背を向ける

00.09.14.
雨の牢屋に閉じこめられる
私はぼんやり外を見る

00.09.13.
アスファルトに染み込んだ雨の匂いが
新しい季節を迎え入れるようで

00.09.12.
立ちつくしてぼんやりして
流れる風だけが時間を教える

00.09.11.
この手を離れた白いボールを
追いかけることもできないまま

00.09.10.
会いたい、そばにいて、行かないで
願望はきりがなく、離れた時間もきりがなく

00.09.07.
一度だけ振り返ったその背中を忘れない

00.09.06.
起きて食べて泣いて寝るだけ
どんなに社会が動いても
どれだけ地球が廻っても

00.09.05.
寄せて消える水際で
振り返ったあなたに恋をした

00.09.04.
愛してた、好きだった、ごめんね。
どれでも一つ言ってあげる
あなたの引いたカードのとおり

00.09.03.
少しくらいは好きでした
それがほんとのほんとの気持ち

00.09.02.
夏の思い出が
バーゲンみたいに薄く売られていく

00.09.01.
永遠を信じるのは
ただこの痛みに関してだけ