徒然詩15
2016.09.19
category: 憂鬱的遊戯
昔々に管理していた詩サイト「憂鬱的遊戯」からの発掘物です。
夜の天幕を突き抜けて
彼方から雨が落ちてくる
遙かな街灯の光を頼りに
よろよろと道を確かめながら歩く
後ろから、雨が追ってくる
身震いするしかないような轟音を立てて
雨が、後ろから追ってくる
その粒の突き抜ける闇の向こうには
やはり光など何もなく
それに驚く間もなく慟哭が襲ってくる
見開いた目も乾くような本物の慟哭が
でも、もう涙は出ない
傘はもう、どこにも見あたらない
前髪から垂れ落ちる滴にまぎれて
唯一の頼りだった街灯が滲んでいく
踏み出す先の道は見えず
足音さえも雨の音
後ろから、近付いてくる
湿り気を帯びたその腕を伸ばして
雨が、後ろから追ってくる
雨が、後ろから追ってくる